鯨ノート

聖地巡礼と旅の記録

さようなら、私のエヴァンゲリオン

3月8日、朝。
いつものコーヒーをコーンスープに変え、いつもより早い電車に乗って向かった札幌駅。
8年前、一緒にQを観て撃沈したフォロワーさんとの再会。
覚悟を決めたオタクたちが入場口へと吸い込まれていく。

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いざ、最後のエヴァを見届けに…!

※以下、個人的なエヴァファン歴の振り返りと『シン・エヴァンゲリオン劇場版』初回上映に至るまでのレポート、語彙力と内容のない感想
※ネタバレあり

エヴァとの出会い

エヴァの存在を知ったのはいつだったか。
中学のとき、友人がアスカの絵を描いていたのをなんとなく覚えている。
新劇場版が公開されるまではその程度の認識だった。

新劇場版が公開された頃、高校のクラスメイトが綾波レイに夢中だった。
当時…だったかどうか、記憶は定かでないが、序を劇場で見た記憶がある。
予備知識として、アニメ版の最初の方(アスカが出てきたくらいまで)を見てから映画館に行った。
結果、ストーリーだけしか見ていなかったので、「なんだ、アニメと同じか」と、それほど響かなかった。
破はたぶん当時は見ていない。

そんな私がエヴァにハマったのは2012年。Q公開の年の3月。
当時私は未来日記というアニメおよび原作漫画にハマっており、その登場人物が「カヲルくんに似てる」と言われているのを度々目にし、「エヴァちゃんと見たことないんだよな…」とつぶやいたところフォロワーさんに24話まで見ることをおすすめされた。

改めて見るとなかなか面白い。
アスカもかわいいし…そんなこんなで24話。
この24話の衝撃があまりに大きかった。
気づけばカヲシン沼にどっぷりだ。

この時期にハマれたのは幸いだったと思う。
公開日決定の熱狂も味わえたし、カヲシンプチにも一般参加できた(思えばあれがはじめてのイベント遠征だった)。

Q公開以降

そして2012年11月17日。Q公開。
カヲシン好きとしては複雑な想いを抱えつつ、これがエヴァだから…と自分を慰め、それはそうとカヲシン映画たまらんと9回劇場に足を運んだ。(Qだけに)

思えばエヴァにハマったことが、オタクとして私を成長させた。
はじめてのイベント遠征、はじめてのコミケ、はじめてのオフ会参加、はじめてのオフ会主催、はじめての聖地巡礼…。

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はじめての聖地巡礼は行き当りばったりでコラボバスとコンビニくらいしか撮れていない。

グッズもフィギュアも山程買った。
はじめてのコミケから帰ってきた足でオールナイト上映に参加するという無茶振りも体験した。(さすがにちょっと寝てしまった)

とはいえ、人の心は移ろうもので、2013年の終わりには進撃の巨人にどっぷりだった。

2014年の年末、ちょうど冬コミで東京に遠征していたタイミングで、閉館する新宿ミラノ座で『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が上映されるという。友人と一緒に観に行った。
別ジャンルに夢中であったなか、このイベントを見つけ、あの場に立ち会えたことは、本当に幸運であったと思う。
エヴァの聖地の最後にエヴァを観る。いい経験をした。

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聖地で旧劇を観る。身が引き締まる思いだった。

シン・エヴァはまだかまだかと心の片隅で待ちわびつつ、その時々のジャンルに全力だった私は、気づけばエヴァストアのメルマガも読まずにゴミ箱に放り込むほどに、エヴァから心が離れていた。

公開日決定と延期、エヴァ

2019年の終わり、公開日が2020年6月27日に決定した。
ツイッターで騒いで見てみるものの、実感はわかない。

2020年春、コロナ禍に入り、公開延期が決定。
正直、ホッとした気持ちのほうが大きかった。

2020年秋、新たな公開日が2021年1月23日に決定した。
いよいよか、と思いつつやはり実感のないまま過ごしていた。

2020年年末、エヴァンゲリオン展がサッポロファクトリーで開催されていたので足を運んだ。
パイロットたちが目を閉じて浮かんでいるようなビジュアルのポスター。
2013年、まだエヴァ熱が滾っていた頃に手に入れた東京開催のチラシが部屋にずっと飾ってある。
当時と変わらぬビジュアルで、7年後に札幌まで来てくれたことは感慨深い。

この展示がすごかった。
テレビアニメ版のセル画や、漫画版の原稿にも興奮したが、なんと言っても新劇場版の原画は圧巻だった。
なんたって量がすごい。細かい動きが、全部ひとつひとつ手描きされている原画を目にすると、シンエヴァあと10年先でいいよ…という気持ちになった。

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思えば8年前もQ公開日から札幌でエヴァ展が開催されていた。

2021年に入り、いよいよ覚悟を決める時が来た。
最速上映のチケット戦争に向けアップしていたところに飛び込んできた最速上映の中止、公開の再延期。
この時点で私は、夏ぐらいになるかな…と勝手に予想していた。

新たな公開日決定、チケット争奪戦

2月の終わり、新たな公開日は突然発表された。
2021年3月8日(月)。
Q公開当時につながった人たちがそのまま残っているタイムラインに激震が走った。
思いがけず目前に迫った公開日、そして平日公開という前代未聞の決定。

初回を逃すなんて考えはなかった。
8年前に比べ、熱は冷めたかもしれない。
それでもエヴァの最後だけは一番に観たかった。

その後も緊急事態宣言の延長で再々延期になるのでは?との噂も流れていたが、公式からの発表はないまま全国一斉のチケット発売日を迎える。

木曜深夜のチケット争奪戦は凄まじかった。
次々と確保の報告がタイムラインに流れるなか、札幌の2劇場だけは一向に繋がらない。
比較的人が集まる都市であるのに、2館しか上映劇場がなかったためかもしれない。
苫小牧や旭川は余裕だったと聞く。
札幌シネマフロンティアの初回を確保できたのは2時間後だった。

シン・エヴァ公開

きたる、3月8日。
上映時間は2時間半と散々脅されてきたので、朝のコーヒーは控えた。
電車の中、桜流しを聞きながら、そういえば3.11が近いなと思い出す。

劇場にたどり着く。
月曜の朝だというのに人でいっぱいだ。
グッズ売り場には行列ができていた。時間もないので諦めた。
ポップコーンとドリンクのセットは魅力的だったが、トイレが怖いのと初回は集中して観たいので今回は購入せず。

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グッズ売り場には行列が。ドリンクホルダーを買っている人もいた。

Q公開前につながった札幌のフォロワーさんと約8年ぶりの再会。
当時Qを何度も一緒に観に行ったフォロワーさんと、エヴァの終わりを見届けるのもまた感慨深い。

思い出話もそこそこに、すでに開場された入場口へと向かう。
体温検査を受け、アスカのチラシをもらった。

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スクリーン12

札幌シネマフロンティア初回のスクリーンは12番。
シネマフロンティアの中では、中くらいの大きさだ。

中に入ると、すでに多くの人たちが着席していた。
雰囲気は思ったよりライトだ。札幌ではユナイテッドシネマの方が初回上映時間が1時間早かったので、よりガチなオタクはそちらに流れたのかもしれない。
とはいえ初回争奪戦を勝ち抜いたそれなりの猛者たちが集う劇場で、緊張感が増す。
座席はセンターとはいかなかったが、中段の右よりで視界も良好、悪くない位置だった。
ネタバレ注意と書かれたアスカのチラシはバッグにしまい、10分前に最後のトイレを済ませた。
予告が流れるはじめのうちは、雑談の声もちらほら聞こえた。
だが次第にその声もなくなり、劇場が静まり返る。

これまでの振り返りが流れる。
今から、最後のエヴァンゲリオンがはじまるのだ。
25年来のエヴァファンからすれば、にわかファンかもしれない。
だが、私も8年待った。

ついに、最後のエヴァンゲリオンが上映される。

本編感想

※初見のままの感想なので、記憶違い大いにあります
※CPの話もあります

前日にアマプラで冒頭が公開されるということだったが、私は睡眠を優先して観なかった。
それなのに「あれなんか見たことあるな…」と思ったら、2019年の上映イベントで公開済みだったのだ。(急だったので現地には行きそびれたのだが、そんなことも忘れていたのかと)

とはいえ迫力の戦闘シーンを、スクリーンで観ていることにすでに興奮が収まらない。
とにかくかっこいい!!ぐるんぐるん回る画面はジェットコースターのよう。
マヤさんたちのタイピングシーンもかっこいい。パソコンパナソニックなんだ!?(ずっとパナだったようだがはじめて気づいた)
リツコさんそんな端っこ歩いて危なくない!?(余計なお世話)

ここまではそんなテンション。
そして完全初公開のシーンへと突入する。

赤い大地を歩くアスカ、シンジ、アヤナミの3人。
このシーンで「よかった、ちゃんと話つながってた」と安堵した。
またQみたいなことになっている可能性もなくはないと考えていたからだ。
「この3人で歩く絵面、なんかかわいいな」なんて不謹慎?なことも思った。

そして衝撃のトウジ登場。
トウジ生きてたーーー!!!(ここで泣く)(完全に死んだと思っていたのは漫画版の印象が強いせいか)
中学生から成長したトウジの姿は、Qで既に見ていたミサトさんたちの老けた姿よりも月日の経過を実感する。

そして街(村)の姿が…。
近代的な町並みが一転、まさかこんなノスタルジックな景観をエヴァで見られるとは…。

ここから先は農業パートになるわけだが。(YouTube滝本竜彦らが最速で『シン・エヴァ』を語ります」参照)
アヤナミかわいいパート。プラグスーツにほっかぶり、腕抜きという新境地。
なんでもかんでも「あれは何?」って聞くアヤナミ
田植えするアヤナミ
おばちゃんたちとお風呂でおしゃべりするアヤナミ
まさかこんなシーンをエヴァで見られるとは…!(2回目)
正直ずっとこの農業パートを見ていたいと思った。

これは復興のお話だな…と考えるとまた目頭が熱くなってきた。
震災があって、Qの内容が変更になったという話はどこかで聞いていた。
だとしたら、シンを描くためにQがあったんじゃないか。あえてQでどん底まで突き落としたんじゃないか、そんな気もする。
希望は残っていた…。こうやってみんなの生活が続いていたことが希望だと私は思った。カヲルくんの言ったとおり。
桜流しとも通じるな…。
だからこそ、この農業パートあらため日常パートをこんなに丁寧に描いてくれたのではないか。救われた気持ちになった。

ケンケンにもびっくりしたけど、アスカとの組み合わせ悪くないなーと。
これ、CP的な意味でなく…アスカの心の安らぐ場所がケンスケのところなら、よかったね…!という気持ち。

で、加持リョウジくん。率直にビジュアルが好み。
まさかの同じ名前…まさかの息子…。

稲刈りしたかったアヤナミがパシャってしまったのが本当につらい。泣いた。
アヤナミのパシャでまたシンジくんが酷く落ち込んでしまうのではないかと思ったが、そうはならなかった。悟りかな…。

ヴィレに戻ると、Qのシーンをなぞるかのようにサクラの登場。
と思ったらいきなりぶった!あんまりだ!
ところが悟ったシンジくんはおとなしく指示に従う。

ここからの記憶はかなり曖昧なのでキャラ単位で思ったことを飛び飛びに書き連ねていくが…

アスカのこと。
予告にも出ていたマリとアスカの白スーツ。
たしかアスカが「死装束だもの」と言っていたと思うが、この時点でアスカは使徒化も覚悟していたのか。印象に残っているセリフだ。
戦闘に出る前、最後にシンジに会いに行って「好きだった」と伝えたこと。これは見ている側としてもスッキリできたシーンだと思う。
LASの人的にどうだったのかわからないが、個人的には納得の清算だったと思う。二人の関係はこれでいい。
予告のあの女の子はアスカだったのか。

ミッサッサンのこと。
ミサッサンがやっと言ってくれた。
そもそもシンジくんが初号機に乗っていなかったらその時点で人類は終わっていた。
もっと早く言ってよ!!と思わなくもない。
でも息子との縁を切ったままヴンダーとともに消えることを選んだミサッサンの覚悟はよかった。
これがないまま、シンジくんだけに戦わせたままだったら、まあ納得がいかなかったと思う。
しかしリョウジくんは生まれて早々に母親に捨てられたことになるのか…物心つく前だったからまだ良かったのかもしれない。まっとうに育ったのは周囲の人間に支えられてか…。
ミサッサンが昔の髪型に戻ったところかっこよかった。これでこそミサッサン。

ゲンドウくんのこと。
初号機と13号機の戦いは親子喧嘩だったのか。
お茶の間や学校で戦うエヴァの図はなかなかコミカル。
そしてゲンドウくんの過去…。
「これ、俺だ」と思ったオタクも多いのでは…?
私は思った。イヤホンして本読んで閉じこもってるオタク…。
それだけならよかったものの、下手にユイさんという救いを得てしまったがために、なおさらこじらせるオタク…。
同じ偶像を崇拝する仲間(冬月先生)と共に突っ走るオタク…。
その結果がこれか。
最終的に息子に「父さんは母さんを見送りたかったんだね」と悟られ、ユイと共に消えるという本懐も遂げた。
なんだハッピーエンドじゃん。

カヲルくんのこと。
渚司令に全部持っていかれた。
待ってくれ、つまりどういうことだ?思考が追いつかないぞ。
破の予告の世界は存在していた??
それはそうと、シンジくんの幸せを願ってやまないカヲルくんがシンジくんによって救われたことが…受けは攻めを救うというCP論を掲げてきた私としては本当にありがとうござますというところで。
アニメ版も漫画版もある意味救われてはいるし、どこかに存在しているかもしれないという希望は持っていたけれど、最後、宇部新川駅にいたことは今までにない新たな提示だ。

マリのこと。
冒頭に始まり、シンジくんが戦うことを選んだときも、「迎えに行く」と言ったマリ。
マリアスの気配もありつつ、なんかいきなりシンジくんに寄ってきたなーと思いながら、(ちょっとどのタイミングだったか覚えてないが)「ユイさん!」で私は違うこれはマリユイだ!と確信した。
マリ→シンジへの「迎えに行く」というスタンスは、あくまでかつて憧れた先輩の置き土産というスタンスなのかなーと思ったがどうだろう。
シン・エヴァ観た翌日に漫画版最終巻を読んでしまったせいかもしれない。
急激にマリユイ熱が上がり、One Last Kissがマリユイにしか聞こえなくなった。
マリユイ補完二次創作書きたい。

ラストシーンについて。
マリENDについては驚いたが、これはこれでアリだなと思った。
初見では、そのままマリシンENDなんだなと受け入れたが、なぜマリシンなんだ?と考えたとき、↑の解釈もありなのかなと思う。
カヲレイ…なのか、そうとも言い切れないが、ここ二人が残っていることがもうすでにハッピーエンド。
アスカは見つけられなかったが、あとから聞いたところベンチに座っていたらしい。

全体的な感想として、旧劇からは考えられないほど、気持ちよくハッピーエンド。
旧劇みたいなのも好きだが、私もエヴァを書くとしたらこういう終わり方にしただろう。
もちろんそんな高度なことできるはずもないが、自分が物語を展開する上の手癖みたいなものと、ちょっと重なっていたように思う。
そんなわけで、終劇の文字を見た瞬間の感想は、「すごく良かった!!」。
全部きれいに片付けて、新たな人生へと送り出してくれるような、大変前向きなエンディングだった。

さようなら、私のエヴァンゲリオン。ありがとう。

これで私もエヴァを卒業か…と思いつつ、かえってエヴァ熱が再燃している状況で、目下の目標は宇部新川駅に行くことだ。
山口県…遠いな…!(金銭的に)
今年は無理でもいつか必ず行きたいと思う。

庵野監督、そして過去のエヴァンゲリオンも含め『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に関わったすべての人に感謝したい。
素晴らしい作品をありがとうございました。